今回は点眼液の使用本数についてのお話です。

内服薬を処方される場合、30日分など1ヶ月に使用する飲み薬の量は分かりやすいですよね。
眼科ではもちろん点眼液を処方することが大半になりますが、点眼液にも点眼回数により1ヶ月で使用する本数は大体決まっています。

よく患者さんから「足りなくなるからたくさん処方してほしい」や「出せるだけ処方して欲しい」など要望をいただきます。
ご高齢で点眼液が一度でなかなか入らない、
たくさん点眼すると効いている気がする、
自宅、職場に分けて置いておきたい、などたくさん使用してしまう理由は様々です。

確かに点眼治療をしているのに、途中で切れてしまっては思うように効果を発揮できません。
但し、たくさん使うからと言ってそれだけ全て健康保険を使用して処方することはできません。
なぜなら、皆さんは医療保険に加入しています。
皆さんは病院や保険薬局の窓口で一部自己負担金を支払い、残りの費用は加入されている保険者が審査機関を通じて支払いをしているのです。
きちんと点眼液を使用することで、医療費の抑制にも貢献できます。

【使用本数の目安】
1日1回点眼の緑内障治療薬を除くほとんどの目薬は1本5ml入りです。
1滴の量は目薬によって多少違いますが、仮に点眼液の1適量を50μL（=0.05ml) とすると、1本5mlの点眼液は、100滴分に相当します。


点眼は1回1滴で十分。
点眼したものが目にたまる量は決まっており、約30μLです。点眼薬の1滴は約40μLですので、目に1滴入れば十分で、1滴でさえもこぼれる計算なのです。
なので、“たくさん点眼すると効いている気がする”というのは間違いです。
水が満タンのコップにさらに水を継ぎ足しているのと同じで、全部こぼれてしまいます。

そしてまた、回数が多すぎると副作用が出てくる事もあります。決められた点眼回数は薬の働きが充分で副作用が起こりにくい回数となっています。点眼は医師の指示通りに使ってください。

【うまく点眼できない‥という方は】
看護師による点眼指導をさせていただいていますので、スタッフまたは診察の際にご相談ください。

“らくらく点眼”という点眼補助具もあります。




ブレずに差しやすい位置に固定でき、無駄なく点眼することができます。
当院で購入することができます。

意外とみなさんご存知ないのが、点眼液の使用期限です。
★開封後の使用期限は1ヶ月
蓋を開けたり閉めたりすることで、雑菌が入ってしまうこともあります。衛生的に保つ意味でも、液が残っていても1ヶ月を経過したら使用していたものは破棄し、新しい点眼液に変えましょう。