2023.10.26
結膜炎について

【結膜炎〜けつまくえん〜】
目やにが出て、白目が赤くなる(充血)症状が起こり、一度は耳にしたことがあると思います。
『結膜炎』でも原因には様々なものがあります。本日は、今の時期起こり得る2つの『結膜炎』についてお話しします。

【結膜とは】

目の表面を覆う薄い透明な粘膜で、黒目(角膜)のまわりの白目の表面と、瞼の裏をおおうピンクの部分からなっています。目の表面の粘膜には、目に入ってきた異物や病原体が目の中に侵入するのを防ぐはたらきがあります。

◆アレルギー性結膜炎
[自覚症状]
充血、目やに(白っぽい糸をひくような)、涙目。そして、特に目が痒くなるのが特徴です。中にはゴロゴロと異物感を感じたり、瞼が腫れることもあります。

日本眼科学会アレルギー性結膜疾患診療ガイドラインより引用

[原因]
目の表面に花粉やダニなどのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こします。アレルギー反応の結果でてきたヒスタミンが、神経や血管を刺激するためです。
そして、代表的なものにスギ、ヒノキの花粉症として発症する「季節性アレルギー性結膜炎」がありますが、実は秋にも原因となる花粉は飛んでいます。ここ最近受診される方の中にも、春の花粉症がある方は、秋もアレルギー症状がでている方が多いので注意しましょう。

[秋の花粉症の主な原因]
キク科のブタクサやヨモギ。アサ科のカナムグラ、イネ科のカモガヤ。これらの草が開花期を迎える9~11月に花粉が飛散し、花粉症を引き起こします。


あまり広範囲には飛散しませんが、主な生育場所が道端、公園、河川敷などの身近な場所が多いので、原因となる雑草に近寄らないだけでも十分予防になり得ます。

また、ハウスダストアレルギーのような「通年性アレルギー性結膜炎」もアレルギー性結膜炎に含まれます。もし家の中で症状が強くなるような場合は、ハウスダストの可能性があります。 夏の暑い時期に繁殖するダニは、秋になると死んでしまい、その死骸は小さく非常に軽いので、人の動きや空気の流れによって舞いあがってしまうのです。

[治療法]
薬物を用いた対症療法に加え、アレルゲンとの接触をなるべく避けるといった予防策が重要になります。主に抗アレルギー点眼薬を使用し、重症の場合にはステロイド点眼薬を使用する場合があります。アレルギー性結膜炎では眼に症状が限局せず、鼻やくしゃみなどの症状を伴っていることの多いため、点鼻薬や内服薬などを使用することもあります。

○花粉対策
・外出時はメガネ、マスク、帽子を着用する
・帰宅時に衣類や髪に付いた花粉を払い落とす
・帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を心掛ける
・洗濯物、布団は花粉を払い落としてから取り込む

○眼に関する花粉対策
「アイシャンプー」
花粉はまつ毛や目もとにも付着するため、その花粉をきれいに洗い流し、目もとを清潔にすることがポイントです。当院で購入することができます。

詳しくみる >>


「抗アレルギー薬を配合したコンタクトレンズ」
ワンデーアキュビュー® セラビジョン® アレルケア®取り扱い始めました。抗アレルギー薬の成分ケトチフェンが、目の表面を覆う涙の層に拡散され、目に届きます。
※必ず医師にご相談ください。


「ウェルウォッシュアイ」
点眼タイプなので、手軽に持ち歩けて使い方も簡単なので、場所を選ばずに異物を洗い流すことができます。処方箋薬局で購入することができます。



◆ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎の中でも、今回はアデノウイルスの感染で起こる「流行性角結膜炎」「咽頭結膜熱」についてお話しします。

今年の10月現在、実際に「咽頭結膜熱」が東京都では、統計を始めた1999年以降、最悪の状況となっていて、初となる流行警報が出されています。他にも大阪や福岡、宮城なども流行レベルに達したとして注意を促しているようです。
「咽頭結膜熱」はプール熱とも呼ばれており、夏季に多くみられていましたが、コロナの影響や異常気象で季節がずれ込んだことにより、遅い時期に異例のプール熱流行が起きています。

[自覚症状]
○咽頭結膜熱(プール熱):
発熱、喉の痛み、目の充血、痛み、涙目、目やに。そしてこれらの症状は、まず片方の目のみに発症し、1~2日ほどでもう片方の目にも症状が現れます。

○流行性角結膜炎(はやり目):
目の充血(強い)目やに(目が開きにくいほど多い)涙目、瞼の腫れ。これらの症状も、まず片方の目のみに発症し、1~2日ほどでもう片方の目にも症状が現れます。そして、耳の前にあるリンパ節が腫れて触ると痛みを伴います。


日本眼科学会ウイルス性結膜疾患診療ガイドラインより引用

[原因]
○咽頭結膜熱:
アデノウイルス3型、4型、7型などの感染
○流行性角結膜炎:
アデノウイルス8型、19型、 37型などの感染

感染してから発症するまでを潜伏期といいますが、アデノウイルスでは約1週間です。流行性角結膜炎は、咽頭結膜熱で起こる結膜炎よりも症状が強くでます。 発病から1~2週間して、黒目に小さい濁り(点状表層角膜炎)がでてくることがあります。濁りがでると、まぶしさやかすみを感じたりします。

[治療法]
ウイルス性結膜炎には、今のところ特効薬はありません。感染したウイルスに対する免疫ができて、自然に治るのを待つしかないのです。アルコール系消毒も、使用濃度が80%以上であれば有効と言われていますが、それ以下では消毒効果としては弱いと考えられています。ですが、一般環境ではアルコール消毒も意味はありますので、手洗いなどと併用し、注意を払い使用してください。

通常、発病後2~3週間程度で治癒します。特効薬はありませんが、炎症をおさえたり、細菌の混合感染を予防するための点眼薬を使用します。
流行性角結膜炎では、角膜びらんを伴うことがあります。この場合は、抗菌薬の点眼や眼軟膏を用いて、感染を予防する必要があります。また点状表層角膜炎に対しては、濁りをとるためにステロイド点眼薬を使います。

ここで重要となるのが、ウイルス性結膜炎の場合は片方の目から症状がでます。その時期には症状のある目だけに点眼してください。両眼に点眼すると点眼薬の容器から感染することがあるからです。

ウイルス性結膜炎と診断されたら、家族やまわりの人に移さないように注意する必要があります。ウイルスは、目を擦ったり拭いたりしたハンカチなどから、他の人に移る危険があります。

[感染予防]
⚫️まず手や指についたウイルスをよく洗い流すこと。
⚫️目やにや涙は、手やハンカチ、タオルではなく、ティッシュペーパーなど使い捨てのもので拭き取り、すぐ捨てましょう。(目やにを拭いたティッシュペーパーは専用のビニール袋に捨てて、掃除のときにゴミ箱の中身に触らずにすむよう工夫をする)
⚫️タオルなど顔に触れるものは、家族とは別のものを使う。
⚫️ウイルスは熱に弱いので、食器やタオルなどは煮沸消毒する。(90℃で5秒の煮沸消毒で死滅)熱消毒できないものは次亜塩素酸(家庭用塩素系漂白剤)やアルコール等で拭きましょう。
⚫️お風呂は最後に入る。

麻疹(はしか)や風疹(三日ばしか)と同じように、ウイルス性結膜炎の場合も一度かかると体の中にウイルスに対する抗体ができ、再びその病気に感染することはありません。ただしウイルスの種類が異なれば、またかかることもあります。
2023.10.26
結膜炎について

【結膜炎〜けつまくえん〜】
目やにが出て、白目が赤くなる(充血)症状が起こり、一度は耳にしたことがあると思います。
『結膜炎』でも原因には様々なものがあります。本日は、今の時期起こり得る2つの『結膜炎』についてお話しします。

【結膜とは】

目の表面を覆う薄い透明な粘膜で、黒目(角膜)のまわりの白目の表面と、瞼の裏をおおうピンクの部分からなっています。目の表面の粘膜には、目に入ってきた異物や病原体が目の中に侵入するのを防ぐはたらきがあります。

◆アレルギー性結膜炎
[自覚症状]
充血、目やに(白っぽい糸をひくような)、涙目。そして、特に目が痒くなるのが特徴です。中にはゴロゴロと異物感を感じたり、瞼が腫れることもあります。

日本眼科学会アレルギー性結膜疾患診療ガイドラインより引用

[原因]
目の表面に花粉やダニなどのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こします。アレルギー反応の結果でてきたヒスタミンが、神経や血管を刺激するためです。
そして、代表的なものにスギ、ヒノキの花粉症として発症する「季節性アレルギー性結膜炎」がありますが、実は秋にも原因となる花粉は飛んでいます。ここ最近受診される方の中にも、春の花粉症がある方は、秋もアレルギー症状がでている方が多いので注意しましょう。

[秋の花粉症の主な原因]
キク科のブタクサやヨモギ。アサ科のカナムグラ、イネ科のカモガヤ。これらの草が開花期を迎える9~11月に花粉が飛散し、花粉症を引き起こします。


あまり広範囲には飛散しませんが、主な生育場所が道端、公園、河川敷などの身近な場所が多いので、原因となる雑草に近寄らないだけでも十分予防になり得ます。

また、ハウスダストアレルギーのような「通年性アレルギー性結膜炎」もアレルギー性結膜炎に含まれます。もし家の中で症状が強くなるような場合は、ハウスダストの可能性があります。 夏の暑い時期に繁殖するダニは、秋になると死んでしまい、その死骸は小さく非常に軽いので、人の動きや空気の流れによって舞いあがってしまうのです。

[治療法]
薬物を用いた対症療法に加え、アレルゲンとの接触をなるべく避けるといった予防策が重要になります。主に抗アレルギー点眼薬を使用し、重症の場合にはステロイド点眼薬を使用する場合があります。アレルギー性結膜炎では眼に症状が限局せず、鼻やくしゃみなどの症状を伴っていることの多いため、点鼻薬や内服薬などを使用することもあります。

○花粉対策
・外出時はメガネ、マスク、帽子を着用する
・帰宅時に衣類や髪に付いた花粉を払い落とす
・帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を心掛ける
・洗濯物、布団は花粉を払い落としてから取り込む

○眼に関する花粉対策
「アイシャンプー」
花粉はまつ毛や目もとにも付着するため、その花粉をきれいに洗い流し、目もとを清潔にすることがポイントです。当院で購入することができます。

詳しくみる >>


「抗アレルギー薬を配合したコンタクトレンズ」
ワンデーアキュビュー® セラビジョン® アレルケア®取り扱い始めました。抗アレルギー薬の成分ケトチフェンが、目の表面を覆う涙の層に拡散され、目に届きます。
※必ず医師にご相談ください。


「ウェルウォッシュアイ」
点眼タイプなので、手軽に持ち歩けて使い方も簡単なので、場所を選ばずに異物を洗い流すことができます。処方箋薬局で購入することができます。



◆ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎の中でも、今回はアデノウイルスの感染で起こる「流行性角結膜炎」「咽頭結膜熱」についてお話しします。

今年の10月現在、実際に「咽頭結膜熱」が東京都では、統計を始めた1999年以降、最悪の状況となっていて、初となる流行警報が出されています。他にも大阪や福岡、宮城なども流行レベルに達したとして注意を促しているようです。
「咽頭結膜熱」はプール熱とも呼ばれており、夏季に多くみられていましたが、コロナの影響や異常気象で季節がずれ込んだことにより、遅い時期に異例のプール熱流行が起きています。

[自覚症状]
○咽頭結膜熱(プール熱):
発熱、喉の痛み、目の充血、痛み、涙目、目やに。そしてこれらの症状は、まず片方の目のみに発症し、1~2日ほどでもう片方の目にも症状が現れます。

○流行性角結膜炎(はやり目):
目の充血(強い)目やに(目が開きにくいほど多い)涙目、瞼の腫れ。これらの症状も、まず片方の目のみに発症し、1~2日ほどでもう片方の目にも症状が現れます。そして、耳の前にあるリンパ節が腫れて触ると痛みを伴います。


日本眼科学会ウイルス性結膜疾患診療ガイドラインより引用

[原因]
○咽頭結膜熱:
アデノウイルス3型、4型、7型などの感染
○流行性角結膜炎:
アデノウイルス8型、19型、 37型などの感染

感染してから発症するまでを潜伏期といいますが、アデノウイルスでは約1週間です。流行性角結膜炎は、咽頭結膜熱で起こる結膜炎よりも症状が強くでます。 発病から1~2週間して、黒目に小さい濁り(点状表層角膜炎)がでてくることがあります。濁りがでると、まぶしさやかすみを感じたりします。

[治療法]
ウイルス性結膜炎には、今のところ特効薬はありません。感染したウイルスに対する免疫ができて、自然に治るのを待つしかないのです。アルコール系消毒も、使用濃度が80%以上であれば有効と言われていますが、それ以下では消毒効果としては弱いと考えられています。ですが、一般環境ではアルコール消毒も意味はありますので、手洗いなどと併用し、注意を払い使用してください。

通常、発病後2~3週間程度で治癒します。特効薬はありませんが、炎症をおさえたり、細菌の混合感染を予防するための点眼薬を使用します。
流行性角結膜炎では、角膜びらんを伴うことがあります。この場合は、抗菌薬の点眼や眼軟膏を用いて、感染を予防する必要があります。また点状表層角膜炎に対しては、濁りをとるためにステロイド点眼薬を使います。

ここで重要となるのが、ウイルス性結膜炎の場合は片方の目から症状がでます。その時期には症状のある目だけに点眼してください。両眼に点眼すると点眼薬の容器から感染することがあるからです。

ウイルス性結膜炎と診断されたら、家族やまわりの人に移さないように注意する必要があります。ウイルスは、目を擦ったり拭いたりしたハンカチなどから、他の人に移る危険があります。

[感染予防]
⚫️まず手や指についたウイルスをよく洗い流すこと。
⚫️目やにや涙は、手やハンカチ、タオルではなく、ティッシュペーパーなど使い捨てのもので拭き取り、すぐ捨てましょう。(目やにを拭いたティッシュペーパーは専用のビニール袋に捨てて、掃除のときにゴミ箱の中身に触らずにすむよう工夫をする)
⚫️タオルなど顔に触れるものは、家族とは別のものを使う。
⚫️ウイルスは熱に弱いので、食器やタオルなどは煮沸消毒する。(90℃で5秒の煮沸消毒で死滅)熱消毒できないものは次亜塩素酸(家庭用塩素系漂白剤)やアルコール等で拭きましょう。
⚫️お風呂は最後に入る。

麻疹(はしか)や風疹(三日ばしか)と同じように、ウイルス性結膜炎の場合も一度かかると体の中にウイルスに対する抗体ができ、再びその病気に感染することはありません。ただしウイルスの種類が異なれば、またかかることもあります。